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八王子市立浅川小学校で「ヴィーガン給食」がスタート! ~ 公立学校としては日本初


2021年5月、八王子市立浅川小学校で公立学校としては日本初となる「ヴィーガン給食」の提供が始まりました。これまで茨城県つくば市・常陸市や静岡県御殿場市で給食週間などイベント的にヴィーガン給食を提供する取り組みはあったものの、「普段の通常給食メニューの中にヴィーガン食を取り入れた公立学校」は、浅川小が全国で初めてとのことです。

そこでMFMAJは、早速、ヴィーガン給食2回目の6月18日に同校へ伺い、関係者へのインタビューはじめ、給食風景の見学と実食をさせていただきました。

日本初となるヴィーガン給食導入を主導したのは、清水弘美(しみずひろみ)校長(上段写真)。そもそものきっかけは、自らが務める環境省「森里川海アンバサダー」活動の中で同じアンバサダー仲間の室谷真由美(むろやまゆみ)日本ヴィーガン協会代表と出会い、色々話を聞いたことから始まったとのことです。それ以来、「ヴィーガン(VEGAN)」という価値観や生き方を意識し始め、さらに、内閣府食堂で実際にヴィーガン料理を体験することで益々関心が高まり、自身の学校にも食育の一環としてヴィーガン給食を導入しようと考えたそうです。

清水校長は、以前からカリキュラムの中に環境保全や社会活動などに重点を置いた特別活動を組み込んだり、なるべくみんなで食べられるよう幅広いアレルギーに対応した「エブリワン給食」の日を月に1回設けるなど、SDGs教育に力を入れてきました。今回のヴィーガン給食は、この「エブリワン給食」に「環境」という考え方も加えてさらに発展させたものです。
この点について清水校長は、「地元食材中心のヴィーガン給食を食べることで、食と環境の関係、すなわち畜肉が環境に与えるインパクトや食分野でのCO2排出などについて考えるきっかけになれば嬉しい」、「また、世の中には様々な食の制限や選択をしている人がいて、そうした価値観なり多様性を知った上で、その現実を受け入れ尊重しあうということを学んでほしい」、「そしてなによりも、一緒に食べて一緒に美味しいと感じることが大事」、「公立学校だからこそ、やるべき」と話しています。

この日のヴィーガン給食は、ひじきの炊き込みご飯・豆の揚げ煮・キノコ汁・リンゴジュース(ストレート果汁)。栄養バランスや味付けなど、非常にレベルが高く、児童らはみな美味しそうに食べていました。毎回の献立は、学校の栄養士が室谷代表とも相談しながら考え、最終的に室谷代表の監修を得ているとのことで、日本ヴィーガン協会の代表自らが監修したヴィーガン料理を毎回食べられる浅川小の児童はなんと貴重な体験をしているのだろうと感じました。彼ら彼女らの将来が非常に楽しみです。

この日ご一緒した室谷代表は、MFMAJに対し次のように話しています。
「ヴィーガン給食の実現は私が叶えたい夢の一つでした。子供たちがみんなで一緒に食べられる喜びと、そうしなくてもいい子たちが食べられない子のために寄り添う思いやりの気持ちと、ヴィーガンを選択することによって地球環境にとっても優しい取り組みをしているということを自然に理解してくれるといいなと思っています。浅川小学校のモデルケースを全国の小学校でも取り入れてくださると嬉しいですね。」(参考:室谷代表による動画レポートはこちら → https://ameblo.jp/mayucafe/entry-12683424936.html

なお、教育委員会や保護者からの反対はなかったのか気になるところですが、清水校長によると、「教育委員会には4月にヴィーガン給食の話をしたが、特に反対はなかった」、「保護者の方々からも否定的な反応はなく、逆に一部の方々から感謝のお言葉もいただいた」、「月に1回だし、みんなが一緒に食べられるというコンセプトが受け入れられたのではないか」とのことでした。これらの点は、これから同様の取り組みを考えている他の学校にとっても参考となるのではないでしょうか。現に、市の教育委員会には、早くも複数の問い合わせが寄せられているそうです。
また、ヴィーガン給食は月1回の提供となっていますが、清水校長は、「本当は週一で提供したいが、毎月の牛乳摂取量が決められており、それをこなすとなると、なかなか難しい面がある」としています。このいわゆる「牛乳しばり」については、ヴィーガン給食との関係だけでなく、乳アレルギーとの関係でもすでに一部で問題となっており、今後、改善を求める声がさらに高まるのではないでしょうか。

いずれにしても、今回の取材を通じて感じたことは、子供と地球の未来を真剣に考え実行に移した清水校長、その思いをしっかり受け止め具体的な形にした栄養士さんと室谷真由美代表という、それぞれの熱いプレイヤーが固い信念の下で迅速果敢に行動したことが大きかったということです。社会のあらゆる分野においてSDGs的な考え方が浸透しつつある今、この歴史的な「浅川モデル」が全国に広がっていくことを期待しています。(清水先生、ご馳走様でした!)